WBC1次ラウンド プールBチーム紹介 ~中国代表 史上最高布陣で"ジャイアントキリング"を狙う~

2017年2月24日 コラム

 3月8日(水)東京ドームでの1次ラウンドプールB・キューバ戦を皮切りに「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 」(以下、WBC)に登場する中国。日本とは3月10日(金)に対戦予定である。これまで3回連続で出場を果たし、日本、韓国、台湾のアジア強豪3か国を追随する存在となっている中国の状況、注目選手に迫っていく。

 4大会連続の出場となった中国。野球の本格的普及は1970年代と、多くが世界的トップレベルにある他競技に比べ遅いが、2000年代にはMLBがMLBディベロップメントセンター(以下、MLBDC)を上海で開設。2008年の北京五輪を契機に中国代表も徐々に強化が図られていった。これまでWBCではすべて一次リーグ敗退に終わっているものの、第2回大会ではチャイニーズ・タイペイに、第3回大会ではブラジルに勝利をあげている。そして今大会はMLBDC所属選手も代表入り。史上最高布陣といって過言ではない。

 監督は前回大会に引き続きジョン・マクラーレン。2001年、レギュラーシーズン116勝と驚異的な勝ち星を収めたマリナーズのベンチコーチを経て、2007年から3年間は同球団監督を経験。2007年・2008年はアメリカンリーグ西地区2位に導く活躍。現在もフィリーズ捕手コーチを務めるなどアメリカ球界でも指導力は高く評価されている。

 今大会、投手陣はMLB経験者もしくは米マイナーリーグ経験者が目玉。まずMLB経験者では、MLB11球団を渡り歩き、MLB通算385試合登板の80勝の左腕・ブルース・チェン(陳用彩)。2015年に現役引退したが、中国系パナマ人の血脈を活かすべく39歳で復帰した。MLBでの長き経験と2第1回、第2回WBCをパナマ代表で戦っているキャリアは投手陣のまとめ役としても効果を発揮することだろう。
 また、昨年21歳ながら韓国プロ野球・KTウィズのローテーション右腕として、昨年6勝8敗の成績を上げたチュ・グォン(周権)も代表入り。アンドリュー・チンは2014・2015年とシングルAやルーキーリーグでプレーした左腕。この間に計21試合に登板し、38回3分の1を投げて34奪三振の三振奪取率が強みだ。
 さらに前回大会では日本戦に先発、2014年の第17回アジア競技大会も経験している羅夏(四川ドラゴンズ)も健在。そしてMLBDC所属の最速145キロ右腕・宮海成も初のWBC代表入りを果たした。昨年、侍ジャパンU-18代表が制した「第11回BFA U-18アジア選手権」で最優秀右投手に輝いた至宝のパフォーマンスには、今後の中国代表を占う上でも大きな期待が集まる。

 一方、野手もこれまでになく層が厚い。まずオリオールズのマイナー傘下に所属する許桂源はMLBDC出身。左の好打者として昨年はルーキーリーグで33試合に出場し、打率.247とMLBへ最初のステップを踏んだ。
 2009年から3大会連続出場のレイ・チャン(張宝樹)は、香港人の父親と上海人の母親を持つ中国系アメリカ人内野手。過去にマイナー854試合で26本塁打を打っている33歳の右打者は、このWBCを選手生活の集大成にする意気込み。また、マイナーで7年間プレーしているジョーイ・ウォン(ロッキーズ傘下)も中国球界にとっては貴重なショートストップとして攻守両面の大黒柱的存在だ。MLBDC所属の外野手、陳燕鵬は海外リーグの派遣経験を持っており、侮りがたい選手である。

 もちろん、2006年、2013年のWBC二大会に出場し、2006年は上原浩治(現カブス)から本塁打を放った「レジェンド」王偉捕手も選出。昨年は第11回BFA U-18アジア選手権での中国U-18代表監督を務めた指導者経験も今大会で活かされることだろう。また、2009年に四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズに在籍した経験もある李澤源(北京タイガース)は内野守備のユーティリティー。彼が出てくる展開になれば、中国代表の勝利が近づく。

 1次リーグプールBではキューバ・オーストラリア・日本の順で対戦する彼らの目標は「3大会連続1勝+α」、3月10日(火)19時から東京ドームで対戦する侍ジャパンも中国にとっては「ジャイアントキリング」の標的である。