WBC2次ラウンド プールFチーム紹介 ~プエルトリコ代表 身体能力と緻密さ兼ね備える"野球の島"~

2017年3月20日 コラム

「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 」(以下、WBC)において侍ジャパンと同じく6連勝で準決勝へと駒を進めたプエルトリコ。プエルトリコ本島の島々から形成されながら、正式名称は「プエルトリコ米国自治連邦区」といいうアメリカの自治的・未編入地域にあるという国情が、身体能力と緻密さを兼ね備える「野球の島」の起源となっている。

 プエルトリコにおけるプロ野球リーグ「リーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・ロベルト・クレメンテ」は1938年から続く伝統あるリーグであるが、1970年代からは通常のリーグの他に、シーズンを終えたMLB選手たちも大挙里帰りして参加するウインターリーグも恒常的に開催されている。
 なお、このウインターリーグ優勝チームは他チームからの補強選手も加え、キューバ、ベネズエラ、メキシコ、ドミニカ共和国のウインターリーグ優勝チームが参加する「カリビアンシリーズ」にも参加。このような代表の疑似体験を普段から積んでいることが、チームの結束力をより深めていると言ってよい。

 そんな背景を持つプエルトリコ代表の中心は、MLBでも実績十分の選手たちである。投手陣では昨年終盤にメッツのローテーション投手にまで成長したルーゴや、レンジャーズのセットアッパー左腕・クラウディオ。昨年6月のMLBデビュー以来、4カ月で18セーブを積み上げたディアス(マリナーズ)。さらにコローン(インディアンス)、22歳のべリオス(ツインズ)など、近未来のプエルトリコを代表する有望投手たちが多数名を連ねている。

 ちなみに投手では彼らに加え、2015年まで東京ヤクルトに4年間在籍し18勝22敗6セーブ27ホールド。2次ラウンドプールF初戦のドミニカ共和国戦で先発した38歳のロマンや、MLB664試合の登板実績を持つ40歳左腕のロメロも4大会連続でメンバー選出を受けた。

 野手陣は実に豪華だ。捕手は34歳となった今大会でも攻守に躍動するモリーナ(カージナルス)、内野手ではコレア(アストロズ)、リンドア(インディアンス)、バエス(カブス)とMLBでも脂の乗ったレギュラー陣が躍動。外野手も両打リードオフマンのA.パガン(元:ジャイアンツ)、ツインズで2年連続二けた本塁打のロサリオ。そして指名打者にはモリーナと共にプエルトリコのレジェンド的存在であるMLB通算2617安打の39歳・ベルトラン(アストロズ)がスイッチヒッターとして、どっしりと座る。

 2013年WBCから指揮を執るエドウィン・ロドリゲス監督の下、彼らが目指すは前回、侍ジャパンの3連覇を阻むも、あと一歩で届かなかった世界一しかない。