中田勝ち越し弾&筒香ダメ押し弾!4対1でオーストラリアを退けて2連勝

2017年3月8日 試合レポート

「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)の1次ラウンド第2戦・オーストラリア戦が8日、東京ドームで行われ、侍ジャパンが4対1でオーストラリア代表に競り勝ち、2連勝で2次ラウンド進出へ大きく先進した。

緊迫の投手戦、好投菅野が被弾も松田の犠飛で同点

 前日の初戦キューバ戦で11得点を奪って勝利した侍ジャパン。一夜明け、この日が今大会の初戦となるオーストラリア代表を迎え撃った。小久保裕紀監督は前日からオーダーをまったく変えず、先発マウンドには今チームのエースと明言する菅野智之(読売)を送り出した。

 1回表、日本はいきなりチャンスを掴む。相手先発・アサートンの立ち上がりを攻め、1番・山田哲人(東京ヤクルト)、2番・菊池涼介(広島東洋)の連打で無死1、2塁。しかし、3番・青木宣親(アストロズ)がセカンドゴロに倒れると、筒香嘉智(横浜DeNA)はストレートに振り遅れて空振り三振。5番・中田翔(北海道日本ハム)は詰まったサードゴロに倒れてチャンスを逃した。

 一方、先発の菅野は、初回は1安打を許しながら危なげなく無失点で切り抜けたが、続く2回に2死走者なしから7番・デサーミゲルに甘く入ったスライダーを捉えられ、ライトスタンド最前列へ飛び込むソロアーチを被弾。予期せぬ一発で1点を追いかける展開となった。

 早くエースを援護した打線だったが、2回から3イニング連続の三者凡退。だが、この嫌な流れを坂本勇人(読売)が振り払う。5回表の先頭打者として打席に入ると、カウント2-1からの3球目をレフト線に運ぶ2塁打。続く鈴木誠也(広島東洋)が内野安打で無死1、3塁とチャンスを広げると、前日4安打4打点の8番・松田宣浩(福岡ソフトバンク)が「同点に追い付くことだけを考えた」とレフトへ、犠牲フライには十分すぎる打球を打ち上げて三塁走者・坂本が生還。試合を振り出しに戻した。

1死満塁を凌ぎ、中田が沈黙を破る勝ち越し弾&筒香がダメ押し弾

 1対1の同点に追い付いた直後の5回裏、日本は大きなピンチを迎える。菅野が死球とヒットで1死1、2塁とされたところで球数制限の65球に到達したために降板すると、2番手の岡田俊哉(中日)が続く1番・カンディテラスにストレートの四球を与えて1死満塁。さらに2番・ベレスフォードに対しても2球連続でボール判定となった。

 この大ピンチに、日本が“結束”する。捕手・小林がマウンドに駆け寄って岡田を鼓舞すると、場内の日本ファンも勇気を与える大きな声援と拍手が沸き起こる。「声かけのタイミングは絶妙だった」とは小久保監督。それに岡田が応える形で、注文通りのセカンドゴロ併殺打に仕留めると、東京ドームは拍手喝采に包まれた。

 そして7回表だった。「菅野がずっと一生懸命に投げてくれていたので早く点が取りたかった」という中田が、この回から登板した相手3番手の右腕・ウィリアムズの初球スライダーを捉え、レフトポール際のスタンドへ叩き込むソロ本塁打。前日3打数無安打に終わった男が沈黙を破る貴重な一発を放ち、「最高の場面で出てくれた」と小久保監督も歓喜。さらに続く8回表には、2死から四球の青木を1塁に置いて、この日3打席無安打だった4番・筒香が豪快なスイングでライトスタンドへ突き刺すダメ押し2ランを放ち、場内総立ちとなった。

 主砲2人が勝利へのアーチを架ける中、中継ぎ陣も期待に応え、6回からマウンドに上がった千賀滉大(福岡ソフトバンク)が2イニングを無失点に抑えると、8回は宮西尚生(北海道日本ハム)、9回は牧田和久(埼玉西武)が締めてゲームセット。前半は苦しんだが、結果的にはエースの好投に主砲がバットで応え、リリーフ陣が抑えるという理想的な形で勝利を飾った。

 次戦は1次リーグ最終戦となる10日の中国戦(19時開始、東京ドーム)。「(気持ちを)抜かずに3連勝できるように、明日しっかり休む選手は休ませて準備したいと思います」と小久保監督。さらに勢いに乗り、オランダ、イスラエルが待つ2次ラウンドでの戦いに備えたい。

選手コメント

菅野智之投手

「ストライク先行でいけました。昨日のキューバ同様、振ってくることが分かっていたので、打たれながらも要所を締めることを目標に投げました。バックの守備にも助けられた場面もたくさんありました。次に向けて、良いステップが踏めたのではと思います。いつも東京ドームのマウンドには立ち慣れているんですけど、今日は独特の雰囲気の中で投げることができて、自分の野球人生にとっても忘れられない1日になったと思いますし、この経験が自分の野球キャリアにおいてプラスになることは間違いないと改めて実感しました」

中田翔選手

「(勝ち越しホームランの場面は)菅野がすごく一生懸命、粘り強く投げてくれていたので、2点目は絶対にこっちが先に取ってやろうという気持ちで打席に立ちました。バットの先っぽで感触はあんまり良くなかったんですけど、打った瞬間行ってくれと願っていた」