2次ラウンド進出はイスラエルとオランダ 1次ラウンドプールA総括

2017年3月14日 コラム

 チャイニーズ・タイペイ、イスラエル、韓国、オランダが属し、大会屈指の激戦区となった1次ラウンドプールA。この組から2次ラウンドに進出したのは、予選を経て本大会初出場を決めたイスラエルと前回大会ベスト4のオランダだった。イスラエルは大方の予想を覆し3戦全勝での1位通過。オランダはイスラエルに敗れたものの実力通りに勝ち進んだ。一方で初の自国開催となった韓国は3位で2大会連続の1次ラウンド敗退となり、選手編成が思うように進まなかったチャイニーズ・タイペイは3戦全敗の4位で大会を終えた。プールAの全6試合を振り返る。

巧な用兵術で1位通過のイスラエル

3月6日 対韓国 ○2-1
 イスラエルが最初に対戦したのは韓国。地元ファンが後押しする韓国に対し、先制したのはイスラエルだった。2回表、制球が乱れ出した韓国の先発チャン・ウォンジュンから8番のクリーガーが押し出し四球を選び1-0とした。1点を追う韓国は5回裏に2番のソ・ゴンチャンがタイムリーヒットを放ち1-1に。試合はそのまま両者得点なく延長戦に突入した。延長10回表、イスラエルは2死1、3塁のチャンスで9番バーチャムの打球はセンターへ抜けようかというゴロ。これをセカンドが抑えるも内野安打となり、これが決勝点となってイスラエルが勝利した。イスラエルは8回からマウンドに上がったザイドが150キロ台の速球を武器に韓国打線を圧倒。3回を投げ被安打1無失点、三振4つを奪う好投でイスラエルを初勝利に導いた。

3月7日 対チャイニーズ・タイペイ ○15-7
 前夜の熱戦の後のデーゲームという悪条件の中、イスラエル打線が初回から火を噴く。連打で出塁の二者を置いて3番デービスがライトへ2点タイムリーヒット。2死満塁で8番クリーガーがセンターにタイムリーを放ち二者が生還。初回に4点を先制した。イスラエルは3回に6番ラバンウエーがセンターに2ラン、9回には4番フレイマンが3ランを放つなど、20安打15得点で大勝。チャイニーズ・タイペイは先発の郭俊麟(埼玉西武)、2番手チェン・グァンユウ(千葉ロッテ)のNPBでプレーする2人が序盤に6失点したことが響いた。

3月9日 対オランダ ○4-2
 共に2次ラウンド進出を決めた2勝同士の対戦となったこの試合、イスラエルはこの日も初回から好調だった。4番フレイマンのタイムリー2塁打、6番ラバンウエーのタイムリーなどで3点を挙げ主導権を握る。守っては28人のメンバーの中で16人を擁するイスラエル投手陣が、この日も小刻みな継投を見せた。韓国戦にも先発したメジャー通算124勝のマーキー(レッズ)が1回無失点でマウンドを降りると2回以降、各投手がほぼ1イニングずつで交代し、9人の投手が被安打5、失点2でオランダ打線を封じ込めた。イスラエルは相手打者に応じた極端な守備シフトを敷くのが印象的だったが、それについてウェインスタイン監督は「事前にたくさんの映像を見て情報を分析した」としてデータを揃えたスカウティングチームの努力をたたえた。

メジャーリーガーが揃い、貫録見せたオランダ

3月7日 対韓国 ○5-0
 オランダの初戦は前回大会も同組だった韓国。前日のイスラエル戦敗退から立ち直れない韓国に対し、オランダは初回からメジャーリーガーたちが畳みかける。1回裏、1番シモンズ(エンゼルス)がレフト前ヒットで出塁すると、2番プロファー(レンジャーズ)がライトへ2ランホームラン。得点には至らなかったが3番ボガーツ(レッドソックス)もライト線へ3塁打を放ち、勢いのある出だしとなった。オランダの先発バンデンハーク(福岡ソフトバンク)はランナーを出すも2度の併殺打でピンチを切り抜け、4回無失点でリリーフ陣に託した。この試合で光ったのはショートのシモンズの好守。打球の強弱に合わせた柔らかなグラブさばきと、他の野手との間合いによって緩急を使い分ける的確なスローイングで韓国のチャンスの芽を摘んだ。両者の対戦は前回大会と同スコアでオランダが快勝した。

3月8日 対チャイニーズ・タイペイ ○6-5
 一進一退の攻防は5-5で迎えた9回裏、無死満塁で2番プロファーが押し出し四球を選んでサヨナラ勝ち。連勝で2次ラウンド進出を決めた。オランダのミューレン監督はチームについて「このメンバーは10月から集まって準備をしてきたので、メンバーがお互いのことをよくわかっている。野球は個人の活躍と同時にチームプレーが大事だ。代表初参加の選手も実力を発揮してくれた」と評価した。

韓国、チャイニーズ・タイペイのアジア勢はともに1次R敗退

3月9日 ●チャイニーズ・タイペイ 8-11 韓国○
 2敗同士で迎えた両者の対戦は勝った方が次回のWBC出場権を得る、同プール3位を懸けた戦いとなった。この試合、韓国が初回に1点を先制すると2回には打者一巡で5点を追加。4回には4番イ・デホがタイムリーを放つなど2点を挙げ、韓国が中盤までに先発全員安打を記録する猛攻を見せた。一方のチャイニーズ・タイペイも序盤からチャンスを生かして得点を重ね、4回には9番林哲瑄が2ランホームラン。6、7回には計3点を挙げ、8-8で延長戦に持ち込んだ。しかしチャイニーズ・タイペイの勢いもそこまで。ゲームを決めたのは韓国だった。10回表、1死1、3塁で6番ヤン・ウィジが犠牲フライで勝ち越し。続く代打のキム・テギュンがリードを広げる2ランを放ち11-8とした。最後は9回途中からマウンドに上がったオ・スンファン(カージナルス)が2回を完璧に抑えゲームセット。韓国は1勝2敗の3位で今大会を終え、チャイニーズ・タイペイは3連敗で次回大会は予選からのスタートとなった。